妖魔06~晴嵐~
休む暇もなく、容赦なく光が飛んでくる。

俺はクルトを抱きかかえながら、回避した。

「まずは、あいつをどうにかしないといけねえ」

白い女も気になるが、攻撃主体の学ランを止めなければいつ死んでもおかしくない。

白き世界に導くか。

「このままでは終わらないな」

何かを悟ったように学ランが動きを止めた。

「仕方ない」

学ランが五体に分身し始める。

分身が瞬間移動を行い、各場所に散らばる。

「何で、最初から使わなかった?」

「この術は、極端に体力と魔力を消耗する。すなわち、これで終わらせるという事だ」

これを防げば学ランは自滅の道をたどるという事だ。

「何度となく邪魔をされたが、お別れだ」

四方八方から光が放たれる。

「お前の台詞を何ていうか知ってるか?」

瞬時に白き世界を展開させる。

俺と学ランのみになる。

光に狙われるのは、俺一人。

「負けフラグっていうんだよ!」

そして、白き世界の中で闇を充満させる。

光は闇に吸い込まれていくが、先ほどよりも光の攻撃が長く続く。

「く」

ふと、俺の体を見ると、ヒビが入り始めていた。

「限界が、近いのか」

力の使いすぎか。

はたまた、時間が経過したために発生した問題か。
< 201 / 278 >

この作品をシェア

pagetop