妖魔06~晴嵐~
「まだ、終わってねえ」

闇が光を吸い尽くす。

全身のヒビが広がっていく。

貼り付けていただけの片腕が落ちる。

体の破片が落ちていく。

「まだ終わってない」

防御しながらも気づかれないように影に似せた闇を地面から伝わらせていく。

「最後まで、気づかれるなよ」

そして、四体まの学ランを同時に突き刺す。

後一体は意識が続かなかったのか、胸を切ることしか出来なかった。

死ぬほどの傷ではない。

しかし、光の勢いはすでになく、相手も限界に到達したようだ。

「まだ、戦う意思があるとでもいうのか」

膝をつき、俺を見ている。

「当たり前だ。俺にも捨てられない物がある」

俺の受けたダメージも相当大きい。

「お前一人の願いのために、どれだけの者が犠牲になると思ってるんだ」

腕は落ちた瞬間に粉々に割れてしまった。

今すぐにでも他の部位も崩れていきそうだ。

時間がたつと白い世界は崩壊する。

「丞ちゃん、その体、どうしたのよ?それに、向こうの奴も傷を受けてるし」

「結果、オーライだ」

時間がなくなってきたな。

学ランはしばらくは動けないだろう。

「今は、前の奴にだけ集中するしかねえ」

白い女が前に立っている。

そして、イヴァン=カナシュートが目を開けて、こちらを見ていた。
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