妖魔０６～晴嵐～

「ちょっと、葵さん？」

傍に立っているのは、飛鳥さんと彼氏の方ですかね。

連太郎さんではないようです。

「おや、飛鳥さんではないですか。お久しぶりです」

「なんでこの人に会わなくちゃならないのよ！私、何か呪われてるの！？」

「おやおや、霊さんに乗りかかられてるのですか。それは今すぐお寺のほうにお電話したほうがいいですね」

「あんたが全部悪いんでしょ！それより、葵さん！そんなところで顔を隠しても無駄よ！」

随分、鼻息を荒くしていますね。

新しい呼吸法を会得したのかもしれません。

「ひ、ひい、すいませんすいません、私は葵ではありません、別人です、どこぞのメザシが好きな野蛮人です！」

葵さんは棚の整理をしながら、顔におやつの袋を貼り付けて隠しています。

「おや、そういえば、葵さん、摩耶さんがあなたに会いたがってましたよ」

「何！それは誠か！外道！？」

「やっぱり葵さんじゃない！今日はみっちり説教するから、いい？今から連れて帰るわ」

「謀ったな！外道！ではなく、私はまだバイトがありますから」

「あなたは私の家のお手伝いさんでしょうが。まだ解雇したわけじゃないんだから！」

「お、お嬢様、私を再びお嬢様のお屋敷においていただけるというのですか？」

「私、葵さんがいなくなって、悲しかったんだよ！？その責任はちゃんと取ってよ」

「うう、うう、おじょうざばああ、葵はうれしゅうございますう」

泣きながらも飛鳥さんに抱きつきました。

「赤城さん」

「はい、マリアさん、何でしょう？」

「とても、いい話ですね」

「マリアさん、私としてはこのような場所で素晴らしい人間関係を見れるとは思ってもみなかったですよ」

明日からは葵さんも肩の荷が下りますね。

「外道、それもこれも、お前のせいではないか！この借りは、必ず返すから、恩師・摩耶さんと共にメザシを食卓に並べて待っておけ！」