妖魔０６～晴嵐～
「おやおや、面白いですねえ」

アカ・マナフが誰かも確認することなく、ナイフを投げつける。

「お前、まだ相手が誰かも分かってないんだぞ」

アカ・マナフを確認すると、腕が切れて出血している。

光の中から転移してきたのは、白い女だ。

白い女の腕にも傷がついている。

しかし、すぐに回復して傷は綺麗な肌となって失った。

回復能力までついているのか。

白い女は先ほどとは何か様子が違う。

動く気配はなかったのに、今はすぐにでもこちらに襲い掛かってきそうな雰囲気があるのだ。

いや、呆けているように見える。

だが、それでも圧迫感が伝わってくるのだ。

白い女はゆっくりと周囲を見渡し、こっちを見る。

「完全なる世界に近づく」

瞳に捕らえているのは、龍姫か。

一つ、笑う。

たとえ美人であったとしても目が笑っておらず、人気が出ないような笑い方だ。

しかし、初めて表情を見せたのだ。

ゆっくり歩き始めたかと思いきや、走る。

動きは速い。

直線状にいるのは龍姫か。

俺が動こうかと思えば、アカ・マナフが先に動いた。

「おや、近々体育祭が開かれるらしいので、走り方の秘訣を摩耶さんにも教えてあげてもらいたいところですね」

すでにナイフを生成しており、白い女に向かっていく。
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