妖魔06~晴嵐~
目前ではアカ・マナフ&子鉄の風と白い女が戦っている。

怪我を負っているのは一方的にアカ・マナフだけである。

倒れない。

何度となく白い女に傷をつけ自分に攻撃が返ってこようとも、白い女から攻撃を受けたとしても、倒れない。

一般人ならば死んでいてもおかしくない程に、全身が刃と打撲によって怪我だらけだ。

それでも、笑っている。

今こそ、死地に近づいている。

本人はそう思っているのかもしれない。

風の能力で後ろで押しているが、それでも白い女は龍姫へと近づく。

アカ・マナフの攻撃も、意味を成していない。

白い女は完全なる世界に近づくといっていた。

そして、龍姫を目標として近づく。

その意味する事は何か。

龍姫を『消す』という事だ。

消すという事は、存在がなくなるという事。

同化にしろ、殺すにしろ、龍姫がなくなってしまう。

また、目の前で死ぬのか。

見殺しにしてしまうのか。

何かしらの打開策がなければ、死が待っている。

「くそ」

「そなたが集中せねば、術は成功せぬ」

龍姫がこちらを見ている。

「そなたが気を散らして時間を遅らせてどうする」

「ああ、そうだな」

俺は深呼吸を行い、集中する。

龍姫も再び詠唱を始める。
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