妖魔06~晴嵐~
詠唱がいつ終わるのか。

アカ・マナフは、膝を突く。

「レバー辺りでも食べなければなりませんね」

血を流しすぎたのかもしれない。

その間に、白い女は龍姫に飛びかかろうとする。

だが、背後から突進して飛び出したのは、紅玉だった。

いつも通りのメイド服であるが、ミニスカートになっている。

すらっとした足が艶かしい。

無駄な解説を入れているが、煩悩は捨て集中しなければならない。

しかし、今まで姿を見せなかったが、何をしていたのか。

残馬頭を刺すような形で持ち、白い女に刺した。

丁度、胸の辺りで、心臓のある位置。

残馬頭は胸を貫いている。

「が、は」

背後に在る木に白い女はぶつかり、紅玉は倒れる。

紅玉は動かない。

死んでしまったのか。

白い女は胸を刺されたのにも関わらず、残馬頭を抜いて動き始める。

本当に不死身なのか。

ハンスのように、魔力を供給しているという事はないのか。

可能性はある。

物には限界というものがあるのだ。

もし、あの女が魔力の供給を受けているとすれば、誰かから送られてきているとしか思えない。

その相手は一人。

イヴァンだ。

白い女は再び動き出し、龍姫へと近づく。

しかし、動きが何かおかしい。

何か、気をつけているような、そんな感じである。
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