妖魔06~晴嵐~
今がチャンスなのか?

今ので魔力供給が断ち切られたのか?

アカ・マナフもそう思ったのかもしれない。

すぐさまに動き始め、白い女の近くに寄る。

だが、何かが引っかかる。

何故、白い女が一人で来たのか?だ。

イヴァンがこれば一掃できるはずなのに、何を考えている。

安易に白い女を殺してもいいのか?

今までのイヴァン=カナシュートという男の手段を考えてみる。

過去に二度、罠を仕掛けてきた。

一度目は世界を亜空間に吸い込む力を発動し、世界を終わらせようとした。

二度目は美咲に死の病を植えつける力を使い、最終的に美咲は一度死んだ。

二つとも、死と同時に発動する罠だった。

その男が何も考えなしに、白い女をこちらに寄越すというのか?

もし、罠だったとすれば?

白い女が捨て駒であり、何かが作動する前触れだとすれば?

イヴァンの事だ。

仲間という意識は存在しない。

だとすれば、白い女は一人で来させる事も出来る。

「待て、待つんだ!アカ・マナフ!」

しかし、俺の台詞が届く前に、決着は付いていた。

紅玉の一撃によりイヴァンからの魔力供給を失い、心臓を修復したのと同時に回復能力に使う魔力を失った。

身体能力の高い白い女とはいえ、経験の差からいえばアカ・マナフのほうが断然上である。

例え、どんな動きをしようとも、アカ・マナフの一撃は決まっていた

今、アカ・マナフによって喉元を切られ、白い女は絶命する。

アカ・マナフの喉元に傷がないところを見ると、白い女の受けた攻撃を反射する能力に対しての魔力は失われたのだろう。

死をもたらした、紅玉の一撃は偉大であったといえる。

だが、俺の思ったとおり、白い女の死によって災いが作動した。
< 216 / 278 >

この作品をシェア

pagetop