妖魔06~晴嵐~
「そんなことは、どうでもいい!」

俺の力で龍姫を助けられないのか。

今、イヴァンは手刀しか使っていない。

もっと、強大な力を爆発させてしまえば、おしまいだ。

「新たなる可能性など、存在しない」

イヴァンがつぶやき、動きを止めた。

龍姫も動きを止める。

詠唱を行いながらも、イヴァンをにらみつけた。

そして、イヴァンも詠唱を行う。

神に近くなったというのに、詠唱を行うというのはどういうことか。

まさか、速攻で決めにかかるのか。

イヴァンが詠唱を終える前に片腕を上空に掲げ上げながら、この世界に何かを召還する。

「あれは」

それは、石碑だった。

「運命を切り開く白銀の刃、か」

龍姫が長く使わなかった能力だ。

理由は、運命を左右するから。

運命とはいい方向にも悪い方向にも進みだす。

とても危険性の高い代物だ。

そして、ここは龍姫が作った世界。

だからこそ、この世界限定で石碑を動かせるのか。

だが、賭けだ。

「頼むぜ」

龍姫は拳を握り、自分の能力を発動する。
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