妖魔06~晴嵐~
イヴァンは詠唱を終える。

すると、地面が揺れ始める。

「これは、やばそうね」

風の力で俺の意思がこもった鉄球と琴を自分の下に呼び込んだ。

「あやつ、世界を崩壊させる、つもりじゃ」

息も絶え絶えになりながらも、龍姫が解説を行う。

「今の、世界をなくすってこと?」

「ワラワの作った世界が、終わるといっていい」

「だったら、早く倒さなくちゃ、ね」

「まだ、倒せぬ」

地響きの中を平然と歩くイヴァン。

こちらに近づいてきている。

「逃げるのじゃ」

「嫌よ」

子鉄は龍姫の前に立った。

「弱ってる奴を置いて逃げ出したら屑よ」

「馬鹿者。そなたらが生き残らなくて、誰が、あやつを倒すのじゃ」

「ここで、奴を仕留める」

「出来ぬというておろう!」

「何が必要なのか、言いなさい!!」

龍姫の声を掻き消すような声で子鉄が吼える。

「馬鹿者が」

うつむき加減の龍姫が顔を上げる。

「クルトじゃ、クルトが、必要なのじゃ」

「そう」

クルトは、恐怖故に俺達と分かれてしまった。

今は夢魔と一緒にいるはずだ。
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