妖魔06~晴嵐~
摩耶さんは転移されていきました。

どこに行っても危険ですが、ここよりはいいでしょう。

子供達も転移陣に乗っていき、最後は妖魔のクルトさん、夢魔さん、琴さん、私が残りました。

「さて、私は死地を迎える準備をしましょうかね」

扉の向こう側を見ながらナイフを構えます。

「何で、お前は、そこまでして死ぬ事を望むだ?」

「望みの先に待つべき者がいるかもしれませんからね」

彼女が待っているかは分かりませんが、可能性はあるかもしれません。

「もし、いなかったらどうするだ」

「いなかったとしたとしても、罪の清算にはなりますよ」

クルトさんは動く気配はないです。

「戦うのなら、治すだす」

「残念ながら、あなたの力を行使してる時間はありませんよ」

転移陣もそう長く維持できないでしょう。

「大丈夫だす。戦える程度にするなら、すぐにでも出来るだす」

「おや、あなたの気遣いで死地に行く事を楽しめそうですね」

私の胸に手を置いて、目を瞑ると彼女は光り始めます。

十秒も立たないうちに腕と胸の傷口は閉じましたが、傷痕は残ったままです。

戦うにしては支障はないでしょう。

「ありがとうございます。では、あなたも転移してください」

夢魔さんは頷き、転移陣に乗って転移していきました。

「琴も丞ちゃんの元に戻るにゃ」

「ええ、よろしく言っておいて下さい」

琴さんが乗ろうとしますが、クルトさんは動きません。
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