妖魔06~晴嵐~
妖魔さん達の姿が見えてきましたね。

どうやら、彼等は暴走していない者の存在に敏感のようです。

転移陣の光も弱まってきているようです。

「クルトさん、あなたは売り切れを起こさない権利を持っています。すなわち、120円を持っているという事です。120円があればどちらかを選ぶでしょう?それとも、あなたは売り切れを選択するほど、喉がかわいていないのですか?」

「オラが行ったら、また、誰かが死ぬだ」

「まあ、120円を別の使い方をするかはあなたの自由ですからね」

「クルトちゃん!」

猫パンチがクルトさんを捕らえます。

「クルトちゃんが行かなくちゃ、死ぬにゃ!琴の大切な丞ちゃんや、丞ちゃんの友達、いっぱいいっぱい死んじゃうにゃ!クルトちゃんだって、何もしないまま死んじゃうにゃあああ!皆不幸になっちゃにゃあああ!」

琴さんは大泣きし始めてしまいました。

妖魔さん達のいる場所で隕石が落ち始めます。

「猫」

クルトさんが立ち上がります。

「オラには、誰かを救う力なんてない。それでも、いいのか?」

「う、うう、行ってもないのに言う事じゃないにゃ」

「分かっただ」

クルトさんは転移陣のほうへと歩いていきます。

「これ以上、うるさい声を聞くのも嫌だ」

「クルトちゃん」

琴さんも急いで転移陣に乗り込みます。

「では、いってらっしゃいませ」

「メガネの人は」

琴さんが転移陣に乗る前に私のほうを向きました。

「私は私の死地をベストにしたいので、残りますよ」

「わかったにゃ、琴が幸福になることを祈っておくにゃ」

「ありがとうございます」

そして、彼女達は世界へと飛び立って行きました。
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