妖魔06~晴嵐~
「『転』!」

瞬時に魔術を行うと、ロベリアが隣に現れる。

「契約!」

「はい」

瞬時に理解したロベリアは俺と契約を果たす。

その間、およそ二秒。

ロベリアが消え、俺は白の鎧を身にまとい付ける。

『モード:神速』

全身に重力がかかった。

俺は重くなった体に吟を抱きながら、背後へと移動した。

モード:神速が解けると、カオスは俺と吟の前方を走っていく。

「何とか、だな」

イヴァンが『カオス』を自分にぶつけてくるという事は予想済みである。

だからこそ、頭のデータの中からあらかじめ探しておいた肉体から精神を切り離す術を使用した。

「すまねえ、ロベリア、最後の最後でお前を巻き込んじまった」

『王子様、お姫様、また会えて嬉しい』

『カオス』はさまよい続ける。

俺は念じ、『カオス』を消失させた。

一度手を離れた以上操るのは難しい。

ならば、消すしかない。

「さて、どうするかねえ」

再び『カオス』を作るにも時間がかかる。

それ以前にイヴァンは待つ気はないらしい。
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