妖魔06~晴嵐~
「うおおおおお!!」

俺の背後から何本もの黒い腕が飛び交い、イヴァンの全ての腕をつかむ。

「吟!二度と、お前を離すものか!」

全てを切り裂き、俺は吟の前に立つ。

「なら、お前も死ぬな」

吟が後ろから抱き着いてくる。

『ギャハハハハ!あついねえ』

増長が茶化してくる。

「うるせえ」

イヴァンの攻撃をかわす事に対して、必死なのだ。

イヴァンにはまだ余裕がある。

『ギャハハハ、あいつは胸糞悪い顔だなあ、宿主さんよ!』

増長はイヴァンの事が気に入らないらしい。

『王子様、このままではお姫様がさらわれるのも時間の問題』

ロベリアの言う事も確かなのだ。

何もかも混沌へと帰す『カオス』を当てるしか、倒せる方法はない。

イヴァンは宙で何かを作り始めている。

「あれは、やばい」

それだけしか分からない。

いや、やばいという事を理解すれば十分だった。

『ギャハハ、そりゃあいい』

増長が俺との契約を解き、分離する。

「ギャハハ!こんなにも面白いもんを目の前にするとは、生きてた甲斐があったな!」

「おい、何するつもりだよ」

「ギャハハ!お前はお前に作れるもんをさっさと作れよ」
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