妖魔06~晴嵐~
「ロベリア、お前とはまた会える気がするんだ。だから、少し待っててくれないか?」

「王子様は、いつも私を苦しくさせる」

「もし、お前に好きな人が出来たら」

刹那、俺の唇にロベリアの唇が重なり合う。

「私は、王子様を追い続ける。あなたの羽になるために。王子様がまた会えるというのなら、もうわがままはいわない」

「勝手に呼び出して、勝手に帰らせるってのは、自分勝手だよな」

ロベリアは首を振る。

「私は、王子様を信じてる」

「分かった」

俺は印を結ぶ。

「『転』」

ロベリアと増長の姿が消える。

「吟」

吟は黙ったまま俺を見ている。

「悪い」

「また、会えるんだろう?」

吟が俺の言葉をさえぎり、口付けを行う。

「丞、お前が好きだ。だから、信じるんだ」

「俺もお前が好きだ。だから、約束は必ず守る」

俺は吟に背を向ける。

「こちらとしては待ちくたびれたよ」

「そりゃ悪かったな」

俺は構えを取る。

ただし、今はまだ能力を使わない。
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