妖魔06~晴嵐~
「君達の信じるという行為、それは素晴らしき物だが、ボクにとっては茶番に過ぎない」

「共感を得ようなんて思わない」

俺にとって呼び出した事が意味のない事だとは思わない。

最後に、ロベリアと話が出来たのはいい事だ。

増長も、手伝ってくれたのはありがたいがな。

そして、二人が来なければ今の余裕すら生まれなかっただろう。

「俺にとって、今が幸せだ。それは誰にも変えられない」

俺は笑う。

「おい、イヴァン、お前は何故、一人を好む?」

「一人?違うね」

腕を見せる。

「ボクは家族と一つだ。そして、女神と共にある」

腕と胴体の間にはつぎはぎが見えている。

「そうか。お前は、家族を殺したのか」

「どうかな。僕と共にあるだけ」

「言い方なんて自由だよな。でもよ、お前は望まれない死を与えたに過ぎないんだ」

先ほどの姉もイヴァンの一部となっているのだろう。

言い方を変えれば、イヴァンの中で生きているといっていい。

「お前、殺す時に家族はどんな顔をしていた?言っておくが、お前の主観で喋るんじゃねえぞ」

「君に語る事ではない」

「そうか」

俺は前へと歩き出す。

「じゃあ、もう、何も聞く事はねえ」

世界を新生させようとした動機が何だとか、興味はない。

結局のところ、やるべきことは同じなのだからな。
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