妖魔06~晴嵐~
変化は外界にも及んでいた。

「ふう」

蛍は倒れている雄の妖魔にタバコ爆弾を投げつける。

投げた瞬間に蛍は柱の後ろにいた妖魔を蹴り倒し、自分が隠れるスペースを作る。

爆破が起こると、上空から妖魔が襲いかかる。

しかし、銃弾が横から妖魔の頭を打ち抜いた。

「油断しすぎじゃないか?」

隣には両手に44マグナムを持った洋子が銃口から出ている煙を吹く。

「年寄りには優しくしていいんだぞ」

「何が年寄りだ。甘えてるだけだろ」

「そうでもないさ」

遠方には雲丸と萌黄の二人のペアが大暴れをしており、大半の妖魔はなぎ払われていた。

アカ・マナフも片腕ながらに妖魔をナイフで切り刻む。

一騎当千の猛者達の功績によって、妖魔の数がゼロに近づいてきていた。

「最後の一発出来るかねえ?」

蛍は空を見上げた。

赤い空気を吸い込むかのように空に浮かぶ雲は渦を巻いている。

世界を覆う異常事態に自分の死期を悟り始めた。

「そろそろ、お前さんの元に行くかもな」

周囲に妖魔がいない事を知っている蛍は壁にもたれかかり普通のタバコを吸い始める。

「ふう」

普通のタバコの副流煙を吐き出し、過去に思いを馳せる。

自分の妻だった女である葉桜郁乃の事。

娘である葉桜千鶴の事。

オマケで葉桜丞の事。

「郁乃との約束は守れそうにないな」

蛍はタバコを携帯用灰皿に入れて蓋を閉じた。
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