妖魔06~晴嵐~
「今は無理に動かすと、危険よ」

子鉄はイヴァンの姿を見る。

今は止まっているが、いつ動き出すか分からない。

丞を信じるしかなかった。

「何?」

体内から何かが消えた感覚を覚える。

「ロベリア」

子鉄は何がいなくなったのかすぐに理解した。

「まさか、丞ちゃんのところにいったの?」

問いに対しての返答はない。

「そう、それなら、それで役に立ってもらいたいわね」

「さっきから何を独り言言ってるんや?」

摩耶は怪訝な顔をしながらも、子鉄を見ている。

「なんでもないわ」

今のうちにすべき事は、龍姫を完全にさせることだった。

一番の力の持ち主は龍姫である。

少しでも力を蓄えさせて、子供達を守るようにしたい。

そう思い、夢魔もクルトも加わり龍姫に魔力を与える。

「すまぬ、ワラワが不肖故、そなた達に迷惑をかける」

「姫ちゃんは吟ちゃんの友達にゃ。丞ちゃんも好いていたにゃ。だから、琴は助けるにゃ」

「オラは、状況がよくなるならお前を助けるだ」

「右に同じだす」

「かたじけないのじゃ」

次第に龍姫の顔色もよくなっていく。

完全になる一歩手前、イヴァンの体が光り始める。
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