妖魔06~晴嵐~
『王子様とお姫様に会えたよ』

同時にロベリアが嬉々とした声を心中で上げた。

「ロベリア、帰ったのね」

『でも』

「でも?」

『そろそろ変化が起きる』

「みたいね」

光に包まれたイヴァンに何が起きているかは、ロベリア以外には分からなかった。

「『メトロディアナ』の復活じゃな」

大体の体力が回復した龍姫は立ち上がり、子鉄の隣に立った。

「『メトロディアナ』?」

「原初なる者。この世界を創造した者であり、寂しがり屋の女じゃ」

龍姫の中にはメトロディアナの情報があった。

幼き頃から聞かされていたからだ。

「一人では生きていけぬ故に世界を作った後に、自分を七等分したのじゃ。それが原初に近き者達の始まり」

龍姫はメトロディアナを睨んでいた。

「復活したと言う事は七人揃ったのかえ」

龍王の存在、吟の存在が丞の中にいた事は、龍姫は理解していた。

『王子様がお姫様の代わりになった』

「え?」

『心の中に残されたのはお姫様』

ロベリアは丞がどういう行動をするのかは、予想がついていたのだった。
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