妖魔06~晴嵐~
「千鶴」

「何?」

「成功したかどうかは分からないけれど、丞ちゃんは自分のやるべき事をやったわ」

「うん」

「今度はあんたの番よ」

子鉄は弱いながらも意志のある千鶴の目を見続ける。

千鶴が何をしたかという事も子鉄は知っていた。

千鶴がプレッシャーに強くないという事も知っていた。

しかし、それでもやらなければならない。

逃げる事の出来ない事態に、甘やかす事は出来ないと思ったのだ。

「うん」

自分のせいで美咲を死なせ、イヴァンとの戦いで子鉄は両腕を失い、丞もいなくなってしまった。

何も出来なかった自分。

戦いの中でずっとそれを悔やみ続けていた。

「自分に、何か出来るのなら、やりたい。もう、守られるだけなんて、やだよ」

瞳に涙を浮かべながらも、自分の意思を伝える。

「そう」

子鉄は微笑を浮かべた。

『千鶴、あなたの気持ち、私に伝わってきたわ』

「ジャスミン」

『あなたがやるというのなら、私はあなたをフォローする』

「いいの?」

『ま、姉さんには絶対的に勝つことは出来ないけど、私はあなたの事は嫌いじゃないのよ』

「私自身の問題なのに、つき合わせてごめんね」

『そこは、ありがとうでしょ。今の私とあなたはパートナーなんだから、ちゃんとお互いに対等であるべきよ』
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