妖魔06~晴嵐~
「でも、どうすればいいの?私、自分の能力の使い方なんて、わからないよ」

「妖魔の場合、古くからの付き合い故に迷う事はない。じゃが、半妖の場合、眠っておる事が大半じゃ。そなたもその口であろう」

千鶴は考えるが、まったく分からなかった。

散々、ジャスミンの能力は使っていたが、それはジャスミンの力がすでに発現していたからで、ジャスミンが妖魔だったからだ。

使い方もジャスミンがサポートしていたに過ぎない。

「来る!」

姿をメトロディアナへと変え、目を覚ます。

『千鶴、私もあんたの力の源ってやつを探ってあげる。自分でも探してよ』

「う、うん」

メトロディアナの目には生気がない。

例えるならば、死んだ魚のような目そのものであった。

メトロディアナは無言のままに周囲を見回す。

目をつけたのは子供達であった。

龍姫は魔術を構成させ、子供達の前に防御壁を張る。

「摩耶!」

子鉄は落ちている刀の柄を蹴り、メトロディアナに向かって飛ばした。

「皆、ここから動くんや!」

子供達はびくつきながらも、摩耶の指示に従う。

「オラも、戦うだ!」

クルトはメトロディアナに対して穴を開けようとする。

しかし、穴が開いたのはクルト自身の胸であった。

「がは」

クルトは倒れる。

刀はメトロディアナの前で止まり、落ちる。

次の瞬間、子供達の前に大きな爆発が起きた。
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