妖魔06~晴嵐~
千鶴は自分の中に起きた変化に気づく。

そして、自分の着ていた鎧も消えてしまう。

「ジャスミン?」

千鶴が問いかけても、ジャスミンの返事はなかった。

一瞬で、何が起きたか理解した。

「何で、何で」

千鶴は情けなさに気が狂いそうになりながらも、自分を保つ。

「全部」

龍姫の背後に立ったメトロディアナを睨み付ける。

「私のせいだ」

千鶴はメトロディアナに向けて片腕を上げた。

「自分が、許せない」

メトロディアナから千鶴に何かが流れ始める。

それはデータを送るやりとりのように似ていた。

「もっと、もっと早くに、気づけたら、皆、幸せになれたはずなのに」

千鶴の体に光が帯び始める。

髪の色がメトロディアナと同じように変色していく。

「あなたは、何の権利があって皆を虐げるの」

メトロディアナが千鶴に視点を変えた。

「ねえ、答えてよ!」

メトロディアナは瞬間移動を行い、千鶴の前に立つ。

感情のない目が千鶴を射抜く。

しかし、千鶴が目を背ける事はない。
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