妖魔06~晴嵐~
「ち、面倒くせえ」

周囲には敵の気配を感じる。

だが、それは好都合だ。

「そこの女」

「何よ?」

不機嫌そうに俺を見る。

「テメーは葉桜でも連れて逃げろ、二度も言わせんなよ」

「あなたがいくら注意したところで、もう遅いみたいよ」

周囲には、黒い影が浮かび上がる。

「この影って」

葉桜を死のきっかけを作った黒い影だ。

「あ、ああ、あああ」

「どうしたの?千鶴?千鶴!?」

自分の責任だとでも思っているのか。

座り込んで身動きが取れなくなっている。

「邪魔だ」

俺は周囲の黒い影の数を数える。

「くそが」

数秒で数えるのを諦めた。

周囲には人間と妖魔の姿も混じっている。

無差別で殺すつもりか。

だが、影からニオイを辿る事が出来れば良い。

遠距離操作だろうが、魔力を通じて操っている事には変わりない。

魔力の道筋はありはずだ。

しかし、すぐに爆発しないところを見ると、遊んでいるのか。

それとも、時間がかかるのか。
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