妖魔06~晴嵐~
「あっ気なかったのね」
妖魔術の中で最高クラスを誇る結界を張った一室で、秋野湊は椅子に座りながら書類と向き合っている。
「彼も世界の中の一つの要因でしかない、という事ね」
傍にあったフランス製のカップに入った少し冷めた紅茶を胃に流す。
「イヴァン君か」
書類の一面に書かれているのはイヴァン=カナシュートの情報。
「少し厄介よねえ」
「世界を統べる力を手に入れた彼奴は、討つべき相手」
傍に立っている影から聞こえてくる声。
「あちらさんの手駒は面白い物が揃ってるわ」
資料をめくっていく。
そこにあるのは、イヴァンと共に行動する者達の資料だ。
秋野は内心、面白がっていた。
障害が高ければ高くなるほどに、秋野のやる気も一層違ってきている。
葉桜丞を放置して、成長させていたのも秋野の責任である。
そのせいで、自分の部下が犠牲になっているのも、秋野は理解していた。
だが、秋野の性質は変わらない。
それでいつかは滅びる身としても、後悔はない。
しかし、身に宿る子を世に出すまでは死ぬ気はない。
「彼女達はどう動くかしら」
カップの隣にある将棋盤の上にある駒を動かしながら微笑む。
「ふふ、予想はつくけど、ね」
角を持ち、飛車を取った。
妖魔術の中で最高クラスを誇る結界を張った一室で、秋野湊は椅子に座りながら書類と向き合っている。
「彼も世界の中の一つの要因でしかない、という事ね」
傍にあったフランス製のカップに入った少し冷めた紅茶を胃に流す。
「イヴァン君か」
書類の一面に書かれているのはイヴァン=カナシュートの情報。
「少し厄介よねえ」
「世界を統べる力を手に入れた彼奴は、討つべき相手」
傍に立っている影から聞こえてくる声。
「あちらさんの手駒は面白い物が揃ってるわ」
資料をめくっていく。
そこにあるのは、イヴァンと共に行動する者達の資料だ。
秋野は内心、面白がっていた。
障害が高ければ高くなるほどに、秋野のやる気も一層違ってきている。
葉桜丞を放置して、成長させていたのも秋野の責任である。
そのせいで、自分の部下が犠牲になっているのも、秋野は理解していた。
だが、秋野の性質は変わらない。
それでいつかは滅びる身としても、後悔はない。
しかし、身に宿る子を世に出すまでは死ぬ気はない。
「彼女達はどう動くかしら」
カップの隣にある将棋盤の上にある駒を動かしながら微笑む。
「ふふ、予想はつくけど、ね」
角を持ち、飛車を取った。