妖魔06~晴嵐~
それが、敵にとっての命取りだ。

だが、俺一人の力では、敵を殺す事は出来ない。

勝負は一瞬。

そして、一撃で決めなければならない。

「女」

「何よ?」

「遠距離攻撃は可能か?」

「出来ない事は、ないわね」

「死にたくなけりゃ、やれ」

俺には遠距離攻撃は不可能だ。

だが、敵の位置を導き出す事は出来る。

「偉そうに。でも、千鶴まで死なせるわけには、いかない」

その瞬間、女の体は地に伏せ、葉桜妹は黒い鎧を纏った。

「千鶴、体を借りるわよ」

敵は俺達の様子を伺っているだろう。

変身した姿も見ているはずだ。

距離は、三十メートル程度か。

ニオイの続く方向は、南西。

しかし、南西方向はビル群に隠れている。

「私なら、敵を引き付けられるわ」

「そんな事やってみろ、俺達は終わる」

爆発して、全てが終わる。

「あなたなら、正確に敵の位置を把握できるっていうの?」

「正確じゃねえ。だが、やるしかねえ」

しかし、次の瞬間、一部の黒い影が爆発した。

そこにいた人間や妖魔は大怪我を負う。

これで分かったことがある。

準備が必要なのではない。

敵は遊んでいるのだ。

「ち、面倒くせえ」
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