妖魔06~晴嵐~
俺等が動けば、俺等以外の者に被害を負わせるという事か。

最後は、俺達を木っ端微塵にする算段だろう。

都合がいい。

人間達が滅ぶのなら、やればいい。

それは、人間達と結ばれようなどというふざけた考え方の妖魔も同罪だ。

だが、俺の目的を潰した奴のやる事だ。

気に入らない。

「面倒くせえ」

敵の姿は見えない。

発見できれば、どこに飛ぼうが永遠に見失う事はない。

しかし、出来もしない無駄な考えは、結局は時間の無駄でしかない。

「南西だ」

ジャスミンが南西を向き、構える。

すると、再び黒い影が爆発し、人間に被害が及ぶ。

どこへ逃げても黒い影がいる以上、逃げ惑う事は意味を成さない。

「一撃で決めねえと、周りの人間が死ぬ」

「何プレッシャーかけてんのよ?でも、問題ない。これ以上、やらせない」

周囲の小石が腕に吸い込まれていく。

「ぐ、う、うう」

悲痛な声を上げる。

再び爆破しようとしたところで、人間達を守る防御壁が発動する。

「刃さん!遅れて、御免!」

ビルの上には笹原妹と冬狐が立っている。

ありとあらゆる人間に防御壁を作り出しているところ、冬狐の力も利用しているはずだ。

じゃあ、先ほど冬狐が移動したのは、妹を呼びに行くためだったのか。

爆発が起これば、街の異変には気付くだろう。

「ち、まあ、いい。適当に守ってろ」

不本意だが、プレッシャーは消えてやりやすくなっただろう。
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