妖魔06~晴嵐~
「『ルール』倒れている者は消滅する」

男の姿は塵となりて、消えていく。

残ったのは男の体内にあった、契約妖魔のコアだ。

感情の篭る事のない表情でコアを見下ろす。

空気に触れ続ければ、契約妖魔のコアは終わる。

しかし、それすら許さずに、命を踏み潰した。

ジャックは懐から、ラベルの貼られていない缶を取り出す。

それを飲み干し、床へと缶を置いた。

ジャックの体内に減った魔力は今の飲み物によって充電される。

一息つき、再び歩き始めた。

先ほどの騒音が嘘のような静かな世界。

敵はいない。

味方もいない。

無傷に近いジャックは決戦を目の前にし、視線は一点を見つめている。

どこかに存在するであろう、秋野の位置。

先ほどのブラフとは別の位置に、秋野の気配を感じていた。

倒すべき相手。

しかし、秋野は通過点でしかない。

何万という妖魔を葬り去ることこそがジャックの最終目的である。
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