妖魔06~晴嵐~
「今度は、私が救うわ」
「小僧をか?」
「死人を?それは無理ね」
「お前は優しい子じゃからのう」
靜丞は笑顔になると冬狐の頭を撫でた。
「私の頭を触った代償は高いわよ」
冬狐が攻撃する事はなかった。
下心のない行動に対しては、攻撃を行わない。
靜丞の行動する意味はわかっている。
その奥に潜んだ気持ちも理解していたとしても、感応する事はない。
壊れた物を作り上げる事は出来ないからだ。
組み立てても、ほんの少し回復する程度の物で、完全にはならない。
生の中で絶望があったとしても、立ち上がらなければ生きてはいけない。
それは、父親のところで学んだ。
誰にとって何が正しいのか。
誰にとって何が間違いなのか。
冬狐にとってはどうでもいい事であった。
自分の思った事を貫くだけである。
家族に害を成す事が全ての悪。
それだけは確かなのである。
ならば、何故、囚われた妹を助けなかったのか。
自分の力では不可能だという事を理解していたからだ。
理解とは、時に絶望を与える。
だが、回復した少しの心のどこかで、信じる物もある。
それが、『葉桜丞』の存在である。
冬狐が彼に対して抱く感情も理解はしていた。
一時は、妹を苦しませる存在として疎ましく、憎くもあった。
しかし、妹に苦しみを与えると同時に、幸福を与えた。
だからこそ、家族同様に信じるにたる存在となったのだ。
「小僧をか?」
「死人を?それは無理ね」
「お前は優しい子じゃからのう」
靜丞は笑顔になると冬狐の頭を撫でた。
「私の頭を触った代償は高いわよ」
冬狐が攻撃する事はなかった。
下心のない行動に対しては、攻撃を行わない。
靜丞の行動する意味はわかっている。
その奥に潜んだ気持ちも理解していたとしても、感応する事はない。
壊れた物を作り上げる事は出来ないからだ。
組み立てても、ほんの少し回復する程度の物で、完全にはならない。
生の中で絶望があったとしても、立ち上がらなければ生きてはいけない。
それは、父親のところで学んだ。
誰にとって何が正しいのか。
誰にとって何が間違いなのか。
冬狐にとってはどうでもいい事であった。
自分の思った事を貫くだけである。
家族に害を成す事が全ての悪。
それだけは確かなのである。
ならば、何故、囚われた妹を助けなかったのか。
自分の力では不可能だという事を理解していたからだ。
理解とは、時に絶望を与える。
だが、回復した少しの心のどこかで、信じる物もある。
それが、『葉桜丞』の存在である。
冬狐が彼に対して抱く感情も理解はしていた。
一時は、妹を苦しませる存在として疎ましく、憎くもあった。
しかし、妹に苦しみを与えると同時に、幸福を与えた。
だからこそ、家族同様に信じるにたる存在となったのだ。