妖魔06~晴嵐~
「すまぬな、ライン、いや、神とでも呼ぶべきか」
龍姫は自室にて茶を啜りながら、ラインを見て目を細める。
「私はライン、それ以上でも以下でもない」
ライン=モールもまた茶を啜る。
「丞と吟の様子はどうじゃった?」
「幽体になった事以外、変わりはない」
「そうか」
葉桜丞が死んだにも関わらず、龍姫は微笑む。
「そなたしか、頼める御仁もおらぬからのう」
「私は私の興味本位で意志を植えつけただけの話だ。君から頼まれずとも、行動を起こしてただろう」
「ほんに、人間を好きな神じゃのう」
龍姫は紅玉が近所で買ってきたせんべえを齧った。
「肉体との鎖が切れた彼が人界に立つ事はないがね」
「じゃが、彼奴の思い通りになって、そなたの存在が危ぶまれると思うが?」
「それも流れだ」
「身を任せるか」
「本来、大いなる意志は何もしない」
「現世と常世を行き来しておるし、他に力を与えておるがな」
「私は、一部であって完全ではない」
「じゃが、彼奴は、完全になろうとしておる、か」
「その先にあるものは、概念の集まりでしかない。それを求める事の意味を把握していれば、いいがね」
「注意してやらんのか?」
「彼はそれを求めていない。自分で知りたいようだね」
「悪い奴じゃ」
「今の場合、何をもって『悪』とするのかが、問題だがね」
二人は同時に茶を啜った。
龍姫は自室にて茶を啜りながら、ラインを見て目を細める。
「私はライン、それ以上でも以下でもない」
ライン=モールもまた茶を啜る。
「丞と吟の様子はどうじゃった?」
「幽体になった事以外、変わりはない」
「そうか」
葉桜丞が死んだにも関わらず、龍姫は微笑む。
「そなたしか、頼める御仁もおらぬからのう」
「私は私の興味本位で意志を植えつけただけの話だ。君から頼まれずとも、行動を起こしてただろう」
「ほんに、人間を好きな神じゃのう」
龍姫は紅玉が近所で買ってきたせんべえを齧った。
「肉体との鎖が切れた彼が人界に立つ事はないがね」
「じゃが、彼奴の思い通りになって、そなたの存在が危ぶまれると思うが?」
「それも流れだ」
「身を任せるか」
「本来、大いなる意志は何もしない」
「現世と常世を行き来しておるし、他に力を与えておるがな」
「私は、一部であって完全ではない」
「じゃが、彼奴は、完全になろうとしておる、か」
「その先にあるものは、概念の集まりでしかない。それを求める事の意味を把握していれば、いいがね」
「注意してやらんのか?」
「彼はそれを求めていない。自分で知りたいようだね」
「悪い奴じゃ」
「今の場合、何をもって『悪』とするのかが、問題だがね」
二人は同時に茶を啜った。