妖魔06~晴嵐~
龍王の爺さんは詠唱をし始める。
「私は、あなたに何かをやらせてばかりの親でしょう」
郁乃母さんは伏目勝ちに言う。
「それを恨む気はないよ。それ以上に郁乃母さんは色々と救ってくれた。小さい頃から、ずっとさ」
「丞」
「それに、郁乃母さんがコアを取ってくれなかったら、俺はもっと早くにここにいただろうよ」
「でも、もっと平和な世界を送れてたかもしれないでしょう」
「そりゃ素敵な世界だけど、俺にとって平和な世界であればあるほど、知り合うはずの人達と知り合えなかっただろうな。だから、今のままでいい」
「丞、本当にあの人に似たでしょう」
「似たくはねえけどな」
苦しい思いや痛い思いはしてきたけれど、だからこそ得る物も大きい。
俺は、それを幸せと思う。
郁乃母さんは光の粒となり、俺の中に入っていく。
「私には思い出がない」
「ああ」
「でも、短い間でそんな事がどうでもいいくらいの気持ちになった」
「たいした事はしてないけどな」
「かもしれない、でも、私にはそうじゃない」
吟が笑顔を見せてくれる。
「そうか」
「私は、お前が好きだ」
「俺もだ」
あの時とは、逆になったようだ。
だが、俺の気持ちは変わっていない。
吟も光の粒となり、俺の中へと入ってくる。
「では、頼んだぞ」
「今度はしくじらねえ」
龍王が光の粒となると同時に、俺は光に包まれた。
「私は、あなたに何かをやらせてばかりの親でしょう」
郁乃母さんは伏目勝ちに言う。
「それを恨む気はないよ。それ以上に郁乃母さんは色々と救ってくれた。小さい頃から、ずっとさ」
「丞」
「それに、郁乃母さんがコアを取ってくれなかったら、俺はもっと早くにここにいただろうよ」
「でも、もっと平和な世界を送れてたかもしれないでしょう」
「そりゃ素敵な世界だけど、俺にとって平和な世界であればあるほど、知り合うはずの人達と知り合えなかっただろうな。だから、今のままでいい」
「丞、本当にあの人に似たでしょう」
「似たくはねえけどな」
苦しい思いや痛い思いはしてきたけれど、だからこそ得る物も大きい。
俺は、それを幸せと思う。
郁乃母さんは光の粒となり、俺の中に入っていく。
「私には思い出がない」
「ああ」
「でも、短い間でそんな事がどうでもいいくらいの気持ちになった」
「たいした事はしてないけどな」
「かもしれない、でも、私にはそうじゃない」
吟が笑顔を見せてくれる。
「そうか」
「私は、お前が好きだ」
「俺もだ」
あの時とは、逆になったようだ。
だが、俺の気持ちは変わっていない。
吟も光の粒となり、俺の中へと入ってくる。
「では、頼んだぞ」
「今度はしくじらねえ」
龍王が光の粒となると同時に、俺は光に包まれた。