妖魔06~晴嵐~
ロベリアの案内で、俺は自分の墓へとやってくる。

そこは、郁乃母さんの墓地と同じ場所だった。

「そうか」

俺は墓地の中を歩いていくと、一人の女性を見つけた。

それは、よく知っている女の子だ。

「千鶴」

俺の墓の前で座って手を合わせている千鶴に声をかけた。

千鶴はゆっくりと振り返る。

その目は、どこか濁っているようにも見えた。

「にい、さん?」

「ああ、そうだ」

「何で、嘘、だよね?」

「確かに、俺は、ここにいる」

千鶴は大粒の涙を流し始めた。

「千鶴、俺は偽者でも何でもない、そして、お前に別れを言えずじまいだったのは、すまないと思っていた」

「そんな事、いい。兄さんが戻ってきてくれただけで」

俺は千鶴に近づいていこうとする。

しかし、目前に千鶴の前に飛び降りて現れたのは、犬神刃であった。

「俺と千鶴の感動の再会を邪魔するなよ」

「テメエは俺が、始末する」

どんな状況であっても、俺と言う人間が気に入らないらしい。

「そうか。だがな、テメエの役目を忘れて、私怨に捉われる野郎に俺は負けねえぜ」

時間がないというのに、刃とやらなければならないのか。

「全く、そなたは幸せな生活をしとると思うたのに、また、辛い選択をしよってからに」

俺と刃の間に現れたのは龍姫と紅玉だ。

転移陣でここに飛んできたと思える。

「龍姫」

「姫ちゃんじゃ。そんな事よりも、後でそなたには色々と話しを聞かせてもらう」

「刃は強い」
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