妖魔06~晴嵐~
俺の特異体質を活かした攻撃は一つ。

攻防一体の一撃。

俺は刃の右からの攻撃をあえて、受ける覚悟を決めた。

同時に、俺は左からの一撃を放つ。

刃は、俺の体質の事をまだ知らない。

それが、勝敗を決めた。

刃の手刀は俺の胸に刺さり、俺の拳はカウンター気味に刃の顎を捉えていた。

「な、に?」

「悪いな、俺は元から死んでるんだ」

どんな生き物でさえ、脳を揺らされれば起きてはいられない。

刃は地面の上へと倒れた。

「兄さん」

「これが、俺が禁忌の上でなっている結果だ」

俺の胸からは血が流れない。

人としての機能は悉く意味を成さない。

刃の腕には腕輪がついていなかった。

必要ないと判断したのか、自分で取ったのかは解らない。

だが、本気で立ち向かってきた。

しばらくは、俺に立ち向かおうとする意思はわかないだろう。

その間に、俺はやるべきことをしなければならない。

「丞ちゃん、どうしてそなたは蘇ったのじゃ」

「みんなの命を、もらった」

俺は、修羅界での出来事を龍姫達に説明する。

「それは、真か?」

「嘘じゃない」

「父上もそなたに、力を」

「すまない」
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