妖魔06~晴嵐~
「父上の意思ならば、ワラワに謝る必要などあるまい」
龍王の輪廻のチャンスを奪った俺を責める気はないらしい。
「それに、そなたの郁乃や吟も、同じ事をしたのであろう。ワラワだけが特別な感情を抱いていいわけがなかろう」
「そうだな」
龍姫は俺よりも大人で、落ち着きもある。
感情の抑揚を出来ているといっていい。
「千鶴、お前はイヴァンに止めを刺して欲しい」
俺は千鶴に向き直り、願いを告げる。
ある程度の話は千鶴も聞いていただろうから、説明しなくてもいいだろう。
感動の再開の時間を刃との戦いに取られてしまったため、さっさと本題へと移行したわけだ。
「そんな、私、出来ないよ」
誰にでも戸惑いはあるだろう。
よほどの自信家でない場合、世界の命運をかけた事に対して弱気になる。
千鶴は、どっちかといえば真逆の性格だ。
怖がるのも当然。
「無理を言ってるのは確かだな」
しかし、千鶴の助けがなければ、ここにいる人達は消えてしまう。
「誰だって嫌な事だ」
千鶴の頭を撫でる。
「逃げてもいい」
しかし、俺だけでも時間稼ぎはしなくてはならない。
「兄さんは、どうするの?」
「そうだな、俺は死んでるから無茶も効く」
「でも、そうしたら、兄さんは」
「もとより、四十八時間しかもたない精神だ。だったら、やるべき事はやっておかなくちゃ、俺に力を貸してくれた人達のやった事が無駄になっちまうからな」
俺は千鶴の頭から手を離した。
龍王の輪廻のチャンスを奪った俺を責める気はないらしい。
「それに、そなたの郁乃や吟も、同じ事をしたのであろう。ワラワだけが特別な感情を抱いていいわけがなかろう」
「そうだな」
龍姫は俺よりも大人で、落ち着きもある。
感情の抑揚を出来ているといっていい。
「千鶴、お前はイヴァンに止めを刺して欲しい」
俺は千鶴に向き直り、願いを告げる。
ある程度の話は千鶴も聞いていただろうから、説明しなくてもいいだろう。
感動の再開の時間を刃との戦いに取られてしまったため、さっさと本題へと移行したわけだ。
「そんな、私、出来ないよ」
誰にでも戸惑いはあるだろう。
よほどの自信家でない場合、世界の命運をかけた事に対して弱気になる。
千鶴は、どっちかといえば真逆の性格だ。
怖がるのも当然。
「無理を言ってるのは確かだな」
しかし、千鶴の助けがなければ、ここにいる人達は消えてしまう。
「誰だって嫌な事だ」
千鶴の頭を撫でる。
「逃げてもいい」
しかし、俺だけでも時間稼ぎはしなくてはならない。
「兄さんは、どうするの?」
「そうだな、俺は死んでるから無茶も効く」
「でも、そうしたら、兄さんは」
「もとより、四十八時間しかもたない精神だ。だったら、やるべき事はやっておかなくちゃ、俺に力を貸してくれた人達のやった事が無駄になっちまうからな」
俺は千鶴の頭から手を離した。