妖魔06~晴嵐~
サイドに避けようとする。

しかし、魔法陣の上から動けない。

「お前達を隔離した」

一歩遅かったようだ。

ロベリア達も、すでに捕獲されている。

白い空間を扱おうとしたが、発動しない。

二人も何かを試しているようだが、発動しない。

真下にある魔法陣を触れても何も意味を成さない。

多分、魔力に関する事は全て、封殺されている。

だからこそ、成功するしないに関わらず、ジャスミンのコアを移行させる事も不可能だという事だ。

身動きが取れない状態だ。

「誰を、殺すつもりだ?」

ロベリアやジャスミンを先に攻撃されたとするのなら、厄介だ。

「殺戮に興味はない。目的の物を消すだけだ」

赤い学ランの男は、俺に掌を見せる。

その前には、魔法陣が組みあがっていた。

「そうかい」

まだ、終わりじゃない。

終わりがあるとするのなら、俺が死んだ時ではない。

イヴァンの生を終わらせた時だけだ。

周囲にある壁のような物を殴りつけるが効果がない。

今の状況で打開策を生み出すのは、不可能だ。

以前の俺なら可能だった。

「以前、か」

世界は、都合の良いように動くわけではない。

しかし、時に都合が良いように動いてくれるのが、世界の意思だ。

紅い学ランの魔法陣の中から波動が放たれる。

「行くぜ!」

拳を広げ、掌を波動に向けた。
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