妖魔06~晴嵐~
「俺を殺す事を止めろとはいわねえ。死にたいのならな」

闇の炎を纏いながら、俺は足を進める。

「あいつに願い事を叶えて貰おうとする魂胆があほらしいんだよ」

「それでも、頼るしかないのだ」

「そうかい」

俺は駆け出した。

「油断をしていた。だが、お前のおかげで目覚めた」

学ランが片腕を上げる。

その瞬間に俺の動きが鈍くなる。

「なに?」

しかし、学ランの動きは普通だ。

「終わりだ」

俺の周囲に動きを鈍くする結界を作り出したのだろう。

俺が掌で結界の魔力を吸い込もうとする前に、学ランが残った片腕で波動を撃った。

魔力切れなのか、大きな波動ではない。

しかし、闇の炎のガードが追いつかず、俺の片腕は消え去る。

なくなったのと同時に、俺は結界をの魔力を吸い込んだ。

「やるじゃねえかよ」

相変わらず痛みは無い。

「はあ、はあ、はあ」

学ランは息切れしている。

例え詠唱破棄できるからといって、高等魔術の使いすぎだ。

歳を取っていても、若くしても、体にかける負担は大きい。

それに、学ランは大妖魔ではないらしいしな。

「悪いな、お前がどういう状況であれ決着を付けさせてもらう」

俺が動く。
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