妖魔06~晴嵐~
何かを起こそうとするが、魔力が切れて息も切れているせいで、動く事もままならない。

俺はアッパーカットで学ランを空中に舞わした。

「ふう」

学ランが地面に落ちるのと同時に白の空間にひびが入り、粉々に散って元の空間に戻った。

ロベリア達を囲んでいた魔法陣は消えて、二人は座り込んでいた。

「大丈夫か?」

「王子様、腕が」

「あいつの願いを叶えようとする思いの代償だ」

俺は地面に倒れている学ランを見た。

意思の力とは恐ろしい物だ。

あいつはあいつなりに、強い気持ちがあったんだろう。

しかし、腕一本か。

「中々、ハードレベルなプレイだな、おい」

回復しないとはいえ、これからの戦いにおいては不便だな。

腕とか生えてくる様子もねえしな。

「頼みたくはねえが、あいつに頼むのが手っ取り早いか」

回復できないのならば、作り出すしかない。

物を作りだせるアホを一人だけ知っている。

「ち、こっちは時間がねえと言ってるのによ」

「あなた、こんな調子で本当に辿り着けるわけ?」

ジャスミンが険しい顔をしている。

「ジャスミンが応援してくれりゃ、辿り着けるぜ」

「さっきはお情けで体を触れさせてやったけど、何でそこまでしなくちゃならないの」

「相変わらず、ジャスミンは手厳しいな」

でも、いつもどおりでいい。
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