妖魔06~晴嵐~
「ちょ、あんた何してるんや!」

「姉さん一筋だけど、可愛い物には目がなくて」

振り回すけれど、離れる素振りを見せない。

「ウチに触れていいのは、パパだけや!」

「まあ、ここはお姉さんに任せときなさい」

「くう」

「おや、凄く仲がいいお友達が出来てよかったじゃないですか」

「パパ、助けてやー」

「この仲睦まじき景色は掃除意欲をわかせるといっても過言ではありませんね」

こいつ等を放って置きたいところではあるが、そうはいかないんだよな。

「私は、マリア=マティー、よろしくお願いします」

「マリアさん、私はロベリアです」

静かな二人は静かに握手をかわしていた。

確かに、似ている部分はあるけど、今そんな友情を交わしている場合でもないんだぞ。

「おい、アカ・マナフ」

「おや、葉桜君も掃除に参加しますか?」

「誰もそんな事はいってないっつうの」

「掃除はいいですよ。清々しい汗がかけますからね」

「だからな、掃除するなんて事は一言もいってない」

「しかし、今日はハピカの匂いが一層引き立ちますよね」

「お前、実は掃除する気ねえだろ」

「おやおや、ハピカは洗顔料にでもなりますよ」

「平気な顔をして嘘をつくな!」

掃除するからハピカ談義に連れ込まれてるぞ。

「ハピカの事はいいんだよ。それより、腕を作ってくれよ」

「おや、片腕の余生を楽しむのではなかったのですか?」

「誰が、そんな事を、言った?」

調子が狂わされるぜ。
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