妖魔06~晴嵐~
「さあ、あなたならどうするの?」

秋野は拳銃を構えている。

秋野からはジャックの位置が見えている。

そう、いくつもの監視カメラを通して、ジャックを確認していた。

しかし、突如として秋野はジャックの存在を見失う。

「面白いわね」

秋野は冷静なまま、無闇に歩くこともしない。

焦る気もなく、油断しているつもりもない。

ジャックの能力を把握し、ジャックの身体能力も把握していた。

全ては数値だけにあらず。

人の可能性は時として数値を上回る。

「あなたが私の」

最後まで言う前に、秋野はその場を飛び退いた。

秋野の肩をかする弾丸。

「私の場所を把握してるわけね」

ここぞとばかりに弾丸は止まない。

「いいわ、あなた、とても、いい!」

走りながら避け、喜びに満ちた顔を浮かべた。

「だけど、もう、あなたの戦法は見えたわ」

何発か掠り、一発は片腕に当たった秋野は拳銃を構え、撃つ。

秋野の視線では大した違いが解らない。

しかし、弾丸が飛んだ位置の足元の草が酷く揺れた。

「ルール『体感温度が一分ごとに一下がる』」

秋野の視界から消えていたジャックが突如として姿を現した。
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