ゴハンの上にマネヨーズ
 ミヤシタは大学時代の同級生だった。

 同級生といっても、ミヤシタは一浪していて、年齢は僕より一つ上。

 ミヤシタは大学近くのアパートに一人暮らしをしていた。入学して間もない頃、共通の友達に連れられてミヤシタの部屋を訪ねたのが、僕がミヤシタと出会った最初だった。
 
 理屈っぽい、鼻に付く喋り方をする奴だな、と思った。ミヤシタは色の褪せたダンガリーシャツを着ていて、ぱっとしないルックスだった。きっと仲良くなどならないな、というのが第一印象だった。

 その頃の僕は、大学生活をより楽しいものにしよう、と無理して話の合いそうのないヴィジュアル系バンドかぶれのファッションを好むグループと交流を深めたり、かわいい女の子がいるから、という理由だけで陶芸部に体験入部したりしていたが、どれも長続きしなかった。

 結局、僕は、授業の空き時間を持て余し、必要に迫られてミヤシタの部屋に立ち寄るようになり、そのうち授業をサボってまでミヤシタの部屋に入り浸るようになった。

 僕もミヤシタも、暇潰しの相手程度にしか考えてない適当な関係性だったから、長く付き合って来られたのかもしれない。

 だから僕とミヤシタが大学の4年間で、何かを成し遂げた、という思い出はない。

ただ、だらだらとミヤシタの家で漫画でも読みながらダイエットコーラでも飲んだり、深夜までウイニングイレブンや桃太郎電鉄などのゲームで盛り上がって、カレーうどんでも食べに行くのが心地よかった。

 女の子をミヤシタの部屋に連れ込んで、セックスでもしてやろうと思ったこともあったけれど、上手くいった試しはなく、憂さ晴らしにマジックマッシュルームをたまにやるくらいだった。

マリファナは値段のわりに眠くなるだけだったので、1回やってみて止めた。スピードやエクスタシーといった名前はよく聞いたが、その重さが面倒臭くて手を出さなかった。

 その程度のノリだった。

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