ゴハンの上にマネヨーズ
タイムカードを押してオフィスに入ると、既に後輩のサカシタが出社をしていて、お気楽にスポーツ新聞を広げていた。
その背中に向かって、おはよう、とあいさつをすると、サカシタは、スポーツ新聞から顔を上げることなく
「チース」
と返事をするだけだった。
このウンコ野郎Ⅱ世め。
社報係はサトヤが編集長みたいなもので、僕とサカシタの計3人で社内報を作っていた。
嫌味ったらしいウンコ野郎Ⅰ世のサトヤが死んだ方がいいのは言うまでもないが、僕はサカシタも大嫌いだった。
サカシタは下品なくらいお調子者だが、お世辞が上手く、仕事が出来きて、ルックスもそこそこで、バーバリーとかポールスミスといった、いわゆる定番のスーツを好んで着るようなきれい目の服装をしていたから、
上司からも女子社員からも人気があって、僕のようなダメ先輩の顔も立ててくれて、取引会社のOLとのコンパにも呼んでくれるような、いい奴だった。
じゃあ、何が嫌いだったかと言うと、サカシタがセッティングした何度目かのコンパで、トイレから帰ってきた僕がテーブルの隅に居るのに気がつかず、酔っ払ったサカシタが、
「ほんま、あいつ仕事出来へんでぇ。あいつと一緒におったら仕事やりにくいわ」
などと僕の悪口を言い出したからだ。
一通り悪口を言って、テーブルの重苦しい空気を読み取ったサカシタは、僕がテーブルの隅に居るのに気づいて、
「やだな、冗談ですよぉ」
と和やかに言ってみせたが、僕は「気にしてへんよ」とは言えなかった。
しかし、僕がサカシタを嫌いな本当の理由は他にあった。
以前、アダチリョウコという美人が、派遣社員として総務部に来ていたのだが、アニメのキャラクターのように童顔なのにオッパイは大きくて、僕は一目惚れをしてしまった。
ところが、先にサカシタが手を出して会社を辞めてしまった。度々聞かされるサカシタの自慢話によると、特に付き合っているわけでもないのに今も関係が続いていて、僕はサカシタが
「あの女、かわいい顔してなかなかの好き者ですよ」
などと、いやらしい笑みを浮かべて言うのに、何食わぬ顔で対応をしなくてはならないからだった。
その背中に向かって、おはよう、とあいさつをすると、サカシタは、スポーツ新聞から顔を上げることなく
「チース」
と返事をするだけだった。
このウンコ野郎Ⅱ世め。
社報係はサトヤが編集長みたいなもので、僕とサカシタの計3人で社内報を作っていた。
嫌味ったらしいウンコ野郎Ⅰ世のサトヤが死んだ方がいいのは言うまでもないが、僕はサカシタも大嫌いだった。
サカシタは下品なくらいお調子者だが、お世辞が上手く、仕事が出来きて、ルックスもそこそこで、バーバリーとかポールスミスといった、いわゆる定番のスーツを好んで着るようなきれい目の服装をしていたから、
上司からも女子社員からも人気があって、僕のようなダメ先輩の顔も立ててくれて、取引会社のOLとのコンパにも呼んでくれるような、いい奴だった。
じゃあ、何が嫌いだったかと言うと、サカシタがセッティングした何度目かのコンパで、トイレから帰ってきた僕がテーブルの隅に居るのに気がつかず、酔っ払ったサカシタが、
「ほんま、あいつ仕事出来へんでぇ。あいつと一緒におったら仕事やりにくいわ」
などと僕の悪口を言い出したからだ。
一通り悪口を言って、テーブルの重苦しい空気を読み取ったサカシタは、僕がテーブルの隅に居るのに気づいて、
「やだな、冗談ですよぉ」
と和やかに言ってみせたが、僕は「気にしてへんよ」とは言えなかった。
しかし、僕がサカシタを嫌いな本当の理由は他にあった。
以前、アダチリョウコという美人が、派遣社員として総務部に来ていたのだが、アニメのキャラクターのように童顔なのにオッパイは大きくて、僕は一目惚れをしてしまった。
ところが、先にサカシタが手を出して会社を辞めてしまった。度々聞かされるサカシタの自慢話によると、特に付き合っているわけでもないのに今も関係が続いていて、僕はサカシタが
「あの女、かわいい顔してなかなかの好き者ですよ」
などと、いやらしい笑みを浮かべて言うのに、何食わぬ顔で対応をしなくてはならないからだった。