愛する、ということ。
久我 伊織

今年で28を迎える三十路直線の女

容姿、髪型、ファッションセンス共に評価するならば、至って普通

得意技は、接客業の経歴で鍛えられた口のうまさと、決して破れることの無い精神的な魔法防御。


別の意味で言えば、面の皮が厚いならぬ、心の皮が厚い女。


いつでも笑顔
いつでも平常心


そんな彼女が現在ハマっているもの。

それは、大規模オンラインゲーム

いわゆる、MMORPGだ。

仕事の都合で転勤した彼女にとっては、ただの暇潰し。

しかし、一人の空間を無駄無く過ごし 出会う人間もジャンルが多かった事から、見事に心を捕われる結果になっている。

彼女にとってその空間は、自分を作り上げていく格好の場所なのだ


「さて。帰ったらグループに入れる人達に合わなきゃな」



まるでリアルで会うかのように吐くと、コートを羽織り部屋を後にする。



残されたBOXに打ち出される文字



《リアー!?いる?。今グループ部屋に五人連れてきたんだけど!》
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