愛する、ということ。
「まだハマってんの?あのクソゲー」
職場に着くなり、会社の同僚が話しかけてきた。
時和 信
同じ会社で働く25歳 オス。
モテる風貌はしているものの、趣味はフィギア集めに映画と拘りが深い。
映画やアニメの話をさせれば、聞き手が溜め息をつくほど長い。
そして、伊織とは共通点のある男だ
「…なんでわかるの。」
コートを脱ぎながら、給湯室に向かう
「クマ出来てる。」
信は、自分の目のフチを指しながら言った。
「…昨日はやりすぎただけ。ほら…、今イベントしてるから」
イベントは、ゲームの中で特別な事が行われる
その期間、敵が落とすアイテムが変わったり、ゲーム内で自分の容姿が変わったりするのだ。
当然、出てくる敵もイベントでしかお目にかかれないのもいる。
「あ、そっか。もうすぐクリスマスか」
コーヒーを入れる伊織を他所に、何かを思い浮かべるかのような仕草をとる信。
「今日、俺も入ろうかな」
「いいんじゃない。なんか新しい面子がうちのグループに入るらしいし」
「へえ。…問題児じゃないといいな」
伊織を見ながらクスリと笑う。
「まあ…。何かあったらまた聞くし…」
そう呟くと、給湯室を後にする
「ハマりすぎだな、ありゃ。」
一言すると、信も後を追った。