君の生きる理由になる
バスから降りて少し歩くと大きな病院が見えた。
「父さんのとこまで案内しようか?」
「お願いしてもいいかな?」
こんなに広いんじゃ絶対迷う。
奏嗣くんに連れられ私は院長室へ向かった。病院独特の臭いも、みんなは嫌がるけど私には心地好くて、家に帰った感じがする。
「失礼します。」
広い部屋には、難しそうな本が沢山並べられていた。
案内してくれた奏嗣くんにお礼を言って、彼と別れた。
「岩野ユリさん?」
「はい。」
感じの良さそうな男の人。ニッコり笑う目元は奏嗣くんに似ている。