【短編】瞳
「……クソッ。
だから……俺、好……きなんだって。
お前の事……」
へ?
好き?
矢野君が私を?
嘘!?
「ほ……本当に?!」
今度は、私が素っ頓狂な大きな声を出してしまった。
「あぁ……」
さっきとは違う小さく呟く様な声。
耳に当たる頬が熱い。
真っ赤なのかな……?
それとも私の耳が熱いだけ?
絶対、私真っ赤だ。
でも……でも矢野君が見たい。
瞳……見たい!
「うぉっ?」
くるんと振り返ると、真っ赤な顔で驚いてる矢野君が居た。
「ばっ……馬鹿!
急にコッチ見んな」
口元を片手で押さえて、少し下向く瞳が合う。