【短編】瞳




頭をくしゃくしゃかきながら、俯いて黙たまま。


さっきの残念そうな顔は何だったの?

やっぱり別れたい……の?

振る言葉、選んでるの?



沈黙が、どんどん私を悪い方へと追い詰めて行く。



言いたい言葉は沢山あるのに、溢れてくるのは涙ばっかり。
それを必死に食い止め、零れない様に必死に我慢するだけ。



「やっぱ女って……わかんねー。疲れる……」



本当にだるそうに呟いた。


それって私の事?
私の事……だよね。


俯いたまま涙を堪え、喉まで出かかった言葉を声にした。



「遠いんだ……」

「は?」

「矢野君が、遠いの……」

「……ここに居るけど?」



心だよ。
心が遠い。


どんな表情で私を見てるかなんて恐くて見れない。

けど……

今言わなきゃ、今じゃなきゃ。





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