【短編】瞳

「好きなのに……大好きなのに。
矢野君に追い付かなくて……くっ…」



我慢してた涙が頬を伝った。

それでも、言わなきゃ。
思ってる事を少しでも伝えなきゃ。



「んだよ、それ？」



好きって言っても駄目……？
もう、私の事を好きになってくれない？



「ごっごめっんなさい……っ……いーから……別れてくれて、振って……くれて』



もういいよ。
もういいから。

疲れるまで、付き合ってくれなくても。



「今まで……無理して付き合って……くれてありがと」



言えた。

本当は、別れたくなんかない。
こんな言葉を言いたかったんじゃない。

でも、これ以上惨めで情けない思いなんて無理だよ。


これで……良かったんだ。
良かったんだよね？





やっぱりあげれない顔。
その上から降って来た言葉に驚いた。


「何で自己解決なの？」


低くて、少し怒った様な声だった。