【短編】瞳




「俺……別れたいとか、嫌いだとか言ったっけ?」

「え?」

「やっぱ……女ってわかんねーよ」


驚きであげた顔に写った、

困った顔で、くしゃくしゃ頭をかく姿。


それは、癖だよね。
困った時の癖なんだよね?



「矢野君は……誰が好きなの?」

「はぁ? ……お前だろ?」


当たり前だろ?
って顔で私の涙でくしゃくしゃな顔を見つめる瞳。



「だって……原田さんと仲良いよね?」

「……それってさ、やきもち?」



う……。
そんなストレートに言われると……。

また赤くなった顔で、ゆっくり頷いた。



「そっか! やきもちか」


そう、凄い笑顔で納得してる矢野君に、

「何で……笑ってるの?」

って聞いたら……



「や……馬鹿…じゃなくて!
可愛いーな……て思ってさ?」



かっ可愛い?
そんな事、言うの?
矢野君がっ!?



てか……馬鹿って何?




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