【短編】瞳
「だーかーら! そんなとこが可愛いんだって……とか言わすなよっ」
真っ赤な頬を手で押さえて隠す姿に、
矢野君も私を好きなの?
私と同じ位……好き?
そう思っていいのかな?
「矢野君……」
「ん?」
「好き……わっ」
掴まれたままの腕を引っ張られて、矢野君の胸の中に飛び込んだ。
少し早い矢野君の心臓の音。
それが黙ってる矢野君も、私を好きだって言ってるみたいで嬉しかった。
「はぁー……」
「やっ矢野君? どーしたの?」
「急には不意打過ぎだから」
抱き絞める腕に力が入った。