【短編】瞳
「学、日曜なのにデートしねーの?」
今日も准家。
毎週、同じ質問の准。
いつもの俺なら全く聞いてないんだけど。
「デートって……そんなするもんなん?」
「はぁ?」
呆れた顔の准。
ちょっと疑問に思っただけなのに。
んな顔すんなよなぁ。
「今まで女と出掛けてたの……あれは何よ?」
「あぁ? あーあれは、勝手に着いて来いとか言われてさ?」
「……学。妃芽ちゃんは、今までの女と違うんだよ? んな事してたら誰かにデート誘われちゃうかもよ」
茶化す准を睨んで、
「桜田は、んな事しねーよ」
自信を持って答えた。
准め。馬鹿な事ばっか言いやがって!
桜田は好きになるのとか全部、俺が初めてだし。
この間も、やきもち妬いてくれたし。
そんな事は、絶対ない。
最近、上手くいってるしな。
だったのに……。
「あれ? 学?
何で准の部屋に居るの?」
「いちゃーわりーかよ、波」
当たり前かの様に、准の部屋に入って来た波が、俺の顔を見るなり怪訝な顔をした。
「はいはい、俺は邪魔者って事か?」
って、気を使って帰ろうとしたのに。
「さっき……妃芽とデートしてたよね!?」
部屋を出る俺の腕を、痛い位に掴んで必死な顔。
「……は? 俺、起きてすぐ准ん家来たけど?」