学校の王子様!!②






コンコンと労るようなノックがされる

これは…椿だな


「咲羅、お粥作って来たけど食欲あるか?」


自分の予想とお腹のすき具合に満足して頷く

椿の作るお粥は好きだ

俺の好きなものを入れてくれるから

それも沢山じゃなくて適量

だからおいしい


「明日は大事をとって学校休みな。連絡しとくし、お弁当は俺が………たまには購買とかにさせてもいいか」


学校…休む…

明日も雅翔には会えないのか…

俺の考えてることがわかったのか椿が頭を撫でて微笑む

ここの家の男はみんな頭を撫でるのが好きなのか…?


「雅翔くんにも、明日学校行けないってメールでもしておきな。家まで迎えに来ちゃうかもしれないから」

『そうだね』

「うん。それにしても声も出ないってことは喉の風邪かな?明日医者行ってみる?」

『ううん。大丈夫、大人しく寝てる』

「ほんと?心配だなぁ」


まあ勝手に学校行ったりとかあったからなぁ…


『学校いっても喋れないし、また早退させられたらたまんない』

「だね。あ、父さんにも連絡は入れたんだけどまだ返信がなくて…」

『忙しいんだよ』

「そうだけど…。咲羅は母さんに似て体調崩しやすいんだから、父さんももう少し気にかけて欲しいよ…」


じゃあそろそろ戻るから、と椿は部屋を出た

…雅翔にメールしよう

題名は…『ごめん』でいいか

“風邪引いたみたいだから、明日学校休む。家まで迎えに来なくていいから。あと、お弁当も作ってあげられない。本当にごめん。”

こんな感じかな?

“…少しだけ会えなくて残念です”

何、付け足してんだ俺

まあ…本心だしこのまま送信するか

…恥ずかしい

やっぱダメだ、消そう

ん?送信完了…しま…し…た?


「………………!!」


俺は声にならない悲鳴をあげた

比喩でもなく冗談でもなく本当に声にならないだけだけど


















< 67 / 77 >

この作品をシェア

pagetop