学校の王子様!!②
コンコンと労るようなノックがされる
これは…椿だな
「咲羅、お粥作って来たけど食欲あるか?」
自分の予想とお腹のすき具合に満足して頷く
椿の作るお粥は好きだ
俺の好きなものを入れてくれるから
それも沢山じゃなくて適量
だからおいしい
「明日は大事をとって学校休みな。連絡しとくし、お弁当は俺が………たまには購買とかにさせてもいいか」
学校…休む…
明日も雅翔には会えないのか…
俺の考えてることがわかったのか椿が頭を撫でて微笑む
ここの家の男はみんな頭を撫でるのが好きなのか…?
「雅翔くんにも、明日学校行けないってメールでもしておきな。家まで迎えに来ちゃうかもしれないから」
『そうだね』
「うん。それにしても声も出ないってことは喉の風邪かな?明日医者行ってみる?」
『ううん。大丈夫、大人しく寝てる』
「ほんと?心配だなぁ」
まあ勝手に学校行ったりとかあったからなぁ…
『学校いっても喋れないし、また早退させられたらたまんない』
「だね。あ、父さんにも連絡は入れたんだけどまだ返信がなくて…」
『忙しいんだよ』
「そうだけど…。咲羅は母さんに似て体調崩しやすいんだから、父さんももう少し気にかけて欲しいよ…」
じゃあそろそろ戻るから、と椿は部屋を出た
…雅翔にメールしよう
題名は…『ごめん』でいいか
“風邪引いたみたいだから、明日学校休む。家まで迎えに来なくていいから。あと、お弁当も作ってあげられない。本当にごめん。”
こんな感じかな?
“…少しだけ会えなくて残念です”
何、付け足してんだ俺
まあ…本心だしこのまま送信するか
…恥ずかしい
やっぱダメだ、消そう
ん?送信完了…しま…し…た?
「………………!!」
俺は声にならない悲鳴をあげた
比喩でもなく冗談でもなく本当に声にならないだけだけど