学校の王子様!!②







「咲羅、雅翔くん来てくれたよ」


ドア越しの椿の声で目が覚めた

本を読んでる最中にうたた寝をしてしまったらしい

まだ覚醒していない頭でホワイトボードを探す

声はでるようになったけれど、無理に出すとまた潰れそうだからと椿達が買ってきた物だ


「入るけど大丈夫?」


はいる…?

…そうだ雅翔!!

ベッドから跳び上がりドアを押さえる

素早くホワイトボードにペンを走らせドアを少し開けて間からホワイトボードを出す


「『もうちょっとまって』?」


椿が読み難そうに疑問符を浮かべる

たしかに我ながら汚い字だと思う

走り書きすぎてすべての字が繋がっているし、すべて平仮名なんだから


「…あぁ、そういうことかわかった。雅翔くんはここで少し待ってて、俺先にお茶入れて来るから」

「いえ、お構いなく…」

「いいからいいから、どうせうたた寝でもしてたんだと思うし」


丸聞こえだよ…

それに当たってるんだけど…

とりあえず服はパーカーでいいよね

鏡をみて変な所がないか確かめて

寝癖を直す

よし!




意を決してドアを開けると

少し驚いた雅翔の顔


「咲羅」


すぐ俺の名前をよんで笑顔を向ける

2日振り…かな?

雅翔に会うの

それなのに何だかすごく久しぶりに会った気がして…


「雅翔…すき」


涙が…止まらないんだ


「咲羅…?」


不安そうに俺を見る雅翔からホワイトボードを貰って言葉をかく


『ちょっと熱があると涙もろくて』


だから大したことないよと笑って見せる

雅翔は仕事で疲れてるんだから、これ以上心配かけられない

『中、入っていいよ』と促すと

俺を横抱きにして中に入る


「無理すんなよ」


とベッドに下ろし頭を撫でる

…さすが王子、恥ずかしげもなくサラっとやってのける

やられるほうが数十倍恥ずかしい




















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